【家づくり】断熱材さえ良ければ安心?いいえ、気密が超重要な理由とC値を徹底解説
さて、最近では「高気密・高断熱」という言葉をよく耳にするようになりましたね。しかし、「断熱の話は聞くけど、気密ってそんなに大事なの?」とか、「断熱材の話の方が重要なんじゃないの?」と思われている方もいらっしゃるようです。
結論から言うと、気密も断熱もどちらも非常に大事です。むしろ、「2つで1つ」と考えていただくのが正しいでしょう。なぜなら、気密がしっかり取れているからこそ、断熱性能がしっかりと生きてくるからです。さらに、気密は断熱材だけでなく、湿気や換気計画にも大きく関わってきます。
今回は、高気密・高断熱という言葉の通り、気密性能が断熱性能にどのように影響を与えるのかを中心に、お話ししたいと思います。
ダウンジャケットで例える「気密」の重要性
気密の重要性をイメージしていただくために、一つ質問です。
あなたは今、家の中でTシャツ姿です。外は真冬の極寒ですが、どうしても外に出なければなりません。
ここで、以下の2つのダウンジャケットのどちらを選びますか?
- 高級ブランドのダウンジャケット。ただし、チャックが壊れて前が閉まらない。
- 全然ブランド品ではないけれど、新品でチャックがしっかり閉まるダウンジャケット。
この例えを簡単に解説すると、ダウンジャケットは「断熱材」、チャックをしっかり閉めて外気が入ってこないように塞ぐことを「気密性」と捉えています。
いかがでしょう?ほとんどの方が、新品のダウンジャケットを選ばれるのではないでしょうか。どんなに高性能な断熱材(高級ブランドのダウン)を使っても、隙間(チャックが開いている状態)があれば、その性能は十分に発揮できません。これは夏でも同じです。例えるなら、冷蔵庫を開けっぱなしで外出するようなものですね。
つまり、断熱材にいくらお金をかけても、しっかりその性能を発揮させてあげられなければ、全く意味がなくなってしまうのです。
建物の「気密」とは?知っておきたい3つの基本
では、具体的に建物の気密についてお話しします。まず、基本として3つ覚えておいていただきたいことがあります。
- 建物の気密とは、建物にできてしまう「隙間」のことを言います。
- その隙間を数値で表したものを「C値(シーち)」と言います。C値は隙間の大きさを表す数値です。隙間が小さくなればなるほど、C値も低く(小さく)なります。
- そして最も重要なのは、気密性能は「1棟1棟違う」ということです。
家を建てる前に図面だけで「かなりの高気密住宅になります」と言う会社は、正直100%信用しないでいただきたいです。なぜなら、その家の気密性能値は、1棟ごとに気密測定を行わない限り、100%は出ないからです。私たちING-homeが出す数値も、あくまで目標値や過去の事例、平均値としてしか表現できません。
C値別に見る隙間の大きさ
では、C値によってどれくらいの隙間ができるのでしょうか。建物の大きさで計算数値は変わりますが、ここでは平均的な120㎡(約36坪)の建物と仮定してお話しします。
- C値5:一般的な住宅(気密を意識しない建物)
これは、24.5cm角の大きさの隙間に相当します。36坪の建物にできた隙間を全て集めると、これくらいの大きさになります。想像してみてください、顔がすっぽり入ってしまうくらいの大きな隙間です。 - C値1:高気密と言われる建物のボーダーライン
この数値は、11cm角の大きさの隙間に相当します。C値5と比べるとかなり小さくなりますが、それでもまだ結構な大きさの隙間だと感じませんか? - C値0.15:ING-homeの平均C値
これは、私たちが現在目指している、そして多くの実績で出している平均値です。C値0.15は最近お引渡しした実際の約37坪の建物で4.5cm角の大きさに相当します。C値1と比べても、いかに隙間が小さいかお分かりいただけるかと思います。この小さな隙間が建物全体に分散しているイメージです。
このように、C値の数値によって、建物全体の隙間の大きさが大きく変わってきます。
隙間が室内環境に与える影響
この隙間が、実際の室内の快適性にどう影響するのでしょうか。分かりやすいように、冬の室内環境を例に考えてみましょう。
外は真冬で、家の中ではエアコンで暖房をつけて暖かい空気を出しているとします。
- 気密性の低い家(隙間が大きい家)
建物の隙間から冷たい外気がどんどん侵入してきます。エアコンの暖かい空気は上に上昇する性質がありますが、外気の侵入によって押し上げられ、そのまま隙間から外に逃げてしまいます。隙間が大きいほど、室内環境は非常に悪くなります。 - 気密性の高い家(隙間が少ない家)
隙間がほとんどないため、冷たい外気の侵入を防ぎます。中の暖かい空気も外に逃げることがなく、室内の温度が安定します。隙間が少ないほど、より快適な住宅になります。
室内の空気が安定するということは、かなりの省エネにも繋がります。快適性も向上し、光熱費も抑えられる。気密性を高めることは、快適で経済的な暮らしに不可欠なのです。
気密性は家づくりの「絶対条件」
このように、気密性をしっかりと高めた状態を作り出すことは、快適な家づくりの絶対条件だと考えています。その上で、断熱性能をどこまで高めていくかが重要になります。断熱材の性能が高ければ高いほど、家は「魔法瓶」のように外気の影響を受けにくくなります。断熱材の種類や湿気についても考える必要がありますが、それはまた別の機会にお話しします。
理想のC値とING-homeの考え方
では、一体どこまでの数値が理想なのでしょうか?これは各建築会社によって考え方があるため、一概に「この数値」とは言えません。
しかし、私たちING-homeが平均C値0.15といった低い数値を目指しているのには理由があります。それは、10年後、20年後、30年後といった長期的な視点を常に考えているからです。どんな建物でも、少なからず劣化はしていきます。もし、高気密と言われるボーダーラインのC値1.0ギリギリを狙っているだけでは、建物の劣化が進んだ際に、快適な空間を常に維持していくのは難しいと考えているからです。
私たちは、平均C値0.1台だからといって満足しているわけではありません。常に限界を目指して、気密性を高める努力を怠らずに行っています。これが、私たちING-homeの家づくりに対する考え方です。
失敗しない建築会社選びのポイント
最後に、皆さんが建築会社を選ぶ際に一つだけ言えることがあります。それは、せめてこの「気密」の重要性をしっかりと理解した建築会社さんを選んでほしいということです。
では、どういう会社が気密の重要性を理解している会社なのか? それは間違いなく、全棟で必ず気密測定を行っているはずです。
そのような建築会社を選んでいただき、失敗しない家づくりをしてください!
それでは、今後の発信にもぜひご期待ください!