まず、この記事を書くにあたり、地震や豪雨などの災害によって被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
今もなお、不自由な生活を余儀なくされている方、復旧や復興に尽力されている方がいらっしゃることと思います。
一日も早く、安心して日常生活を送れる日が戻ることを願っています。
今回この記事を書くのは、災害を不安を煽る材料として扱いたいからではありません。
むしろ、住宅をつくる側だからこそ、平常時だけではなく「もしものとき」の暮らしについても考えておく必要があるのではないかと思ったからです。
オール電化か、ガス併用か。災害時のリスクはどう考える?

家づくりを進める中で、「オール電化がいいか、ガス併用がいいか」と迷われる方は非常に多いと思います。
基本的にはご自身の生活スタイルに合わせて選んでいただくのが一番ですが、「もし災害が起きて、すべてのライフラインが使えなくなったら…」と不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、「どちらのシステムが絶対に正解」ということはありません。
災害対策において本当に重要なのは、エネルギーの種類そのものよりも、「一つのエネルギーや設備に依存しすぎないこと(分散と備え)」です。この記事では、それぞれのメリットと災害時のリスクを整理しながら、安心できる家づくりのヒントをご紹介します。
オール電化とガス・電気併用の特徴と災害時のリスク
オール電化の特徴

調理(IHクッキングヒーター)、給湯(エコキュート)、暖房(エアコン)など、家庭のエネルギーをすべて「電気」に一本化するスタイルです。
- メリット:ガスの基本料金がかからず、光熱費の管理がシンプルになります。また、太陽光発電や蓄電池(自宅で電気をつくり蓄える仕組み)との相性が非常に良いのが特徴です。
- 災害時のリスク:停電が発生すると、家中の設備(IH、給湯、照明、冷蔵庫など)が一斉に使えなくなります。復旧が早いとはいえ、停電中の生活への影響は非常に大きくなります。
ガス・電気併用の特徴

キッチンはガスコンロ、給湯はガス給湯器など、電気とガスを使い分けるスタイルです。ガスには大きく分けて「都市ガス」と「LPガス(プロパンガス)」があります。
- メリット:エネルギー源を分散できるため、停電時でもガスコンロでお湯を沸かしたり調理をしたりすることができます。
- 災害時のリスク(都市ガス):地下の導管を通じて広範囲に供給されるため、大きな地震が起きると安全確保のために広範囲で供給がストップします。復旧プロセス(点検・漏れ確認など)が複雑なため、再開までに時間がかかります。
- 災害時のリスク(LPガス):各家庭にボンベを設置する分散型エネルギーのため、導管網の復旧が不要で比較的災害に強いとされています。ただし、ボンベや配管自体が損傷すれば当然使用できません。
【注意したい落とし穴】
ガス併用なら停電時も安心と思われがちですが、ガス給湯器は電気を必要とする機種が多く、停電時にはお湯が使えないケースがほとんどです。導入する設備の仕様は事前にしっかり確認しましょう。
過去の災害から見る「ライフラインの復旧スピード」

過去の大規模災害(阪神・淡路大震災、東日本大震災、能登半島地震など)のデータを見ると、一般的に電気の復旧は早く、ガス(特に都市ガス)の復旧には時間がかかる傾向があります。
- 電気:比較的早く応急送電体制が整い、数日程度で大部分が復旧するケースが多いです。
- 都市ガス:安全確認の工程が多いため、供給再開までに数週間〜1ヶ月以上かかることもあります。
ただし、「復旧が早い=災害に強い」とは限りません。災害対策としては、「電気が3日」「水道やガスが1週間」止まる事態を想定し、その間の生活をどう維持するかを考える必要があります。
ライフライン停止に備える!家づくりのポイント

「〇〇を導入したから絶対に安心」という思い込みは危険です。万が一の事態に備え、以下のポイントを押さえておきましょう。
1. 太陽光発電と蓄電池の活用
昼間に太陽光で電気をつくり、蓄電池に貯めておくことで、夜間や停電時にも電力を使用できます。ただし、「どのコンセントが使えるか」「どれくらいの電力・時間を使えるか」は設備の仕様によって異なるため、家づくりの段階でしっかり確認しておくことが必須です。
2. アナログな「小さな備え」を組み合わせる
高価な設備に頼り切るのではなく、身近な備えをしておくことが、いざという時の大きな安心に繋がります。
- カセットコンロ:電気がなくてもお湯を沸かしたり、簡単な調理ができます。
- エコキュートの非常用水:タンク内のお湯(水)は、断水時にトイレを流すなどの生活用水として活用できます。
- 飲料水の備蓄・モバイルバッテリー:最低でも家族全員の3日分(できれば1週間分)の飲料水と、情報収集のためのスマホを充電するバッテリーを用意しておきましょう。
さいごに
災害は、いつ誰の身に起こるか分かりません。
今回の記事が、これから家を建てる方にとって「もしものとき、自分たちの家はどうなるだろう?」と考えるきっかけになれば幸いです。
改めまして、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。
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