「ほしいもの」だけを考えて家を建てていませんか?

注文住宅を建てる際、「広いリビングが欲しい」「おしゃれなアイランドキッチンにしたい」など、夢が膨らむのは当然のことです。しかし、SNSや住宅展示場で見た「誰かの理想の家」をそのまま真似しても、自分たちにとって暮らしやすい家になるとは限りません。
本当に大切なのは、「自分たちの家族がこれからどんな暮らしをしたいか」を考えることです。そのためには、新しい家の間取り図とにらめっこする前に、まずは「今の家」で何が起きているのかをしっかり観察することが重要になります。
まずは1週間、今の家を「観察」してみよう

「本当の理想の家」を見つけるための最も有効な方法は、現在の住まいで1週間、家族の行動をありのままに観察することです。特別なことをする必要はありません。普段通りに生活しながら、以下のようなポイントをチェックしてメモに残してみましょう。
暮らしの観察日記でチェックすべきポイント
- 朝の行動:家族はどこに集まるか?洗面所はどの時間帯に混雑しているか?
- 帰宅後の行動:家に帰ってきて最初に何をするか?荷物はどこに置いているか?
- 物が集まる場所:リビングの一角やダイニングテーブルなど、なぜか物が集まってしまう場所はどこか?
- 家事の動線:洗濯機から干す、畳む、収納するまでの移動距離は長すぎないか?掃除機をかけるために何往復しているか?
- 一番長くいる場所:家族が自然と集まり、長く滞在しているスペースはどこか?
このような日常の動きを記録していくと、「本当に困っていること」や「無駄な動き」が浮き彫りになってきます。
不満や「面倒くさい」にこそヒントがある

今の家を観察していると、「収納が足りなくて散らかる」「毎朝ここを通るのが面倒くさい」といった不満が見つかるはずです。実は、この小さな不満にこそ、家づくりの大きなヒントが隠されています。
現象ではなく「原因」を探る
例えば「部屋が散らかる」という現象に対して、ただ「新しい家では収納を増やそう」と考えるのは危険です。なぜ散らかるのか、その原因を探ってみてください。「使う場所と収納場所が離れているから片付けない」「奥行きが深すぎて使いにくい」など、根本的な原因が見えてくるはずです。
家族の物が自然と集まってしまう場所は、裏を返せば「家族がそこを収納場所として必要としている」ということです。無理に散らからないようにするのではなく、最初からその場所に収納やカウンターを計画することで、自然と片付く家になります。
どんな小さなことでも設計士に伝えよう

1週間の観察で気づいたメモは、家づくりの打ち合わせの際に設計士に見てもらいましょう。「こんなことまで言っていいのかな?」と思うような些細な不満や面倒ごと(例:毎朝カーテンを開けるのが面倒、スマホの充電場所がないなど)でも構いません。
設計士は、そうしたリアルな生活スタイルや小さな不満から、あなたにとって本当に「必要な家」の形を提案してくれます。例えば、「LDKは20畳欲しい」という要望も、観察日記を見れば「実はソファ周辺の10畳しか使っていないから、もっと別の空間に面積を割いた方が良いかもしれない」といったプロならではの視点が得られるのです。
まとめ:今の暮らしを知ることが理想の家への近道
家づくりにおいて、理想の設備や広さを追求することも大切ですが、それ以上に「今の暮らしの課題を解決すること」が重要です。国が推進する住生活の向上においても、一人ひとりのライフスタイルに合った居住環境の整備が求められています。
失敗しない家づくりのために、まずは1週間、今の家で何が起きているのかをじっくり観察してみてください。そこから見えてくる「本当に必要なもの」こそが、あなたにとっての本当の理想の家をつくる第一歩となるでしょう。