ナフサは本当に不足してる?国とメディアで意見が違う「値上げの闇」の真実
「建築資材が手に入らないわけではないのに、価格だけが異常に上がっている」「国はナフサは足りていると言うけれど、テレビは石油由来の商品がないと煽っている」——このような状況を目の当たりにして、「いったい誰が嘘をついているのか?」「意味のない値上げに付き合わされているのではないか?」と疑問や不信感を抱くのは当然のことです。
結論から言うと、国もメディアも「完全な嘘」をついているわけではありません。現在起きているのは「モノ(ナフサ)自体は確保できているが、それを調達するためのコストが異常に跳ね上がっている」という状態です。この記事では、ナフサをめぐる現状と、なぜ建築資材が値上がりし続けているのか、その真実を分かりやすくひも解いていきます。
ナフサとは?なぜ建築資材に関係するのか
先日も書きましたが、そもそも「ナフサ」とは、原油を精製して作られる石油化学製品の基礎原料のことです。私たちの身の回りにあるプラスチック製品をはじめ、塗料、接着剤、断熱材、塩化ビニル管など、建築資材の多くがこのナフサを原料として作られています。そのため、ナフサの供給や価格の動向は、建築資材の状況に直結するのです。
国とメディア、どちらが嘘をついている?

国とメディアで主張が食い違っているように見えるのは、それぞれが「違う側面」を切り取って発信しているからです。
国の視点:「物理的な量は確保できている」
国が「ナフサは十分に足りている」と言うのは、国内の在庫や輸入のルートが完全に途絶えたわけではなく、「必要な量はなんとか確保できている」という意味合いが強いと考えられます。皆さんが実感されている通り、現場で建築資材が全く入ってこないという事態には陥っていません。
メディアの視点:「調達リスクと価格高騰の危機」
一方、テレビやマスコミが「無い」「不足している」と危機感を煽るのは、中東情勢などの地政学リスクによって「将来的な調達が危ぶまれていること」や「これまで通りの安い価格で手に入るナフサが無いこと」を指していると言えます。
実際、帝国データバンクの調査レポートによると、国内製造業の約3割が「ナフサ調達リスク」の可能性を感じており、企業の9割超が原油高や供給不安によるマイナス影響を受けていると回答しています。メディアはこうした「企業側の強い危機感」をクローズアップして報じているのです。
モノはあるのに、なぜ異常な値上げが続くのか?

「ナフサが足りているなら、値上げする必要はないのでは?」と思うかもしれません。しかし、建築資材の価格が高騰している最大の理由は、「ナフサを買うためのお金(調達コスト)」が劇的に上がっているからです。
主な要因として、以下の3つが挙げられます。
- 原油価格の高騰:ナフサの元となる原油そのものの価格が、世界的な情勢不安(中東情勢など)により上昇しています。
- 急激な円安:日本はナフサの多くを輸入に頼っているため、円安が進むと同じ量を買うのにもより多くの日本円が必要になります。
- 輸送コストの増加:燃料代の高騰や物流業界の人手不足により、運搬にかかる費用も増加しています。
経済メディア大手のForbes JAPANでも、「製造業の9割が直面する原材料値上げの過酷」といった形で、地政学リスクがもたらすコスト高騰の深刻さが報じられています。つまり、今の値上げは決して「意味のない便乗値上げ」ではなく、世界的なコスト上昇の波が末端の建築資材にまで押し寄せている結果と言えます。
私たちが知っておくべき真実と向き合い方

「モノがない」という極端な報道を見ると、私たちは必要以上に不安になり、「何かに洗脳されているのでは」と感じてしまうことがあります。しかし、真実は「モノはあるが、安く作ることはもうできない」という厳しい現実です。
まとめ
- 国が言う「足りている」は、物理的な供給量が維持されているという意味。
- メディアが煽る「不足」は、安価なナフサが無く、将来的な調達リスクがあるという意味。
- 建築資材の値上げは便乗ではなく、原油高や円安による「調達コストの異常な高騰」が原因。
現状の価格上昇は、世界的な情勢や為替が落ち着かない限り続く可能性があります。情報に踊らされず、「今はそういうコストがかかる時代に変化したのだ」と冷静に状況を受け止め、今後の予算計画や事業運営の対策を立てていくことが大切です。
