今回の動画収録は、本当に熱い、そして難しい議論となりました。タイトルにもある通り、「高性能住宅オワコン時代」に突入した今、私たち工務店が考えるべき次の時代とは何か、これからの注文住宅、そして家づくりはどうあるべきかという非常に重いテーマに正面から向き合いました。この議論を通じて、まず明確になったのは、もはや**「高性能」を謳うこと自体が恥ずかしい時代に入りつつある**ということです。高気密・高断熱といった建物の性能は、私たちが提供する上で絶対に落とせない、もはや「宿命」とも言えるレベルに達しています。最低限の法律レベルではなく、お客様が快適に、そして健康に過ごしてもらえる家づくりができるか、そのレベルは担保し続けなければなりません。では、性能を維持した上で、次は何をすべきか。
答えは一つ、「コストをいかに下げるか」です。
ただし、これは安易な「ローコスト住宅」に走るという意味では全くありません。ローコスト住宅は、今まで私たちが議論してきた最低限の快適な性能を無視した内容であるからです。私たちが目指すコスト削減は、性能を下げることではなく、提供方法を見直すことにあります。具体的に、コストを下げるための工夫は多岐にわたります。まず、従来の「注文住宅」というあり方を見直す必要があります。お客様の要望を全て聞き入れてコストが膨らむのを避けるため、ある程度マニュアル化し、お客様に「作らしてあげる」くらいのスタンスも必要ではないかという話もありましたが、私たちING-homeでは使用する部材の選定も大事だと思っています。例えば断熱材一つとっても、SW(スーパーオール)のような高い保証付きの材がある一方で、グラスウールのような安価な材でも、施工方法を工夫し、気密の取り方や湿気の考え方をクリアすれば、性能は絶対に維持できます。このような建材一つひとつを見直していくタイミングに来ていると考えています。他にも、重要なのはトップモデルの最高の注文住宅に使っている材料を、セカンドラインでも変えずに使い続けることで、ここを妥協してアウトレット専用の商品を作ってしまうと、お客様はがっかりしてしまいます。コストを下げるのは、工事しないところを増やすなど、工夫によって行うべきという意見もありました。
それでも3社とも声が揃うのは職人さんの賃金を下げるという選択肢はありえないということ。彼らは常にプロフェッショナルであるからです。私たちがやるべきは、建材屋さんと年間を通してどれだけの物件を出すか交渉し、価格を下げてもらうという、会社としての姿勢を見せることです。この性能を担保した上でのコストダウンは、本当に難しい課題です。しかし、この道を行かなければ、大げさでなく工務店は生き残れません。そして、この快適さとコストのバランスが取れた住宅が、「普通」になってほしい。そのための努力を、これからも私たち工務店が一体となって切磋琢磨していく必要があると感じています。

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