先日公開したYouTube動画『第4弾!!奈良の工務店3社で本気で議論してみた。』について、今回もブログとしてまとめたいと思います。今回のテーマは、注文住宅における永遠の論争ともいえる、【基礎断熱(基礎全体を断熱する)と床断熱(床下と居住空間の間に断熱材を入れる)のどちらを採用するか】というものでした。地元奈良で真摯に家づくりに取り組む工務店の仲間、ファンズホームの中本さん、株式会社和宇の和田さんと、それぞれの工法を採用する理由について、本気で議論しました。私たちING-homeでは、今後も変わることはないだろうという確信をもって、基礎内断熱を一本で採用しています。私たちが基礎断熱を選ぶ大きな理由の一つは、気密が非常に取りやすいことです。高気密住宅を実現するためには、基礎まで断熱し、基礎から外気にさらさないようにすることで、家全体を効率よく温めたり涼しくしたりすることが可能になります。また、換気システムとしてマベックスの澄家を採用していることも、基礎断熱を採用している理由の一つです。さらに、基礎断熱は、将来的に床下エアコンを導入したいというニーズが出てきた場合にも対応できるという柔軟性を持っています。これは、床下エアコンを利用する際に、基礎断熱でないと対応が不可能という点があるためです。あと、これは余談ですが点検時の快適さも実はあって床断熱の場合、基礎パッキンなどの隙間から虫が入ってきてしまうことがありますが、基礎断熱の場合は基礎と土台の隙間を完全に塞いでしまいますので床下空間に虫がいない状態を保てます。また基礎断熱における懸念点として「シロアリ」がよく挙げられますが、私自身も当初は怖いと感じていました。しかし、確認を重ねていくと、シロアリが食害するのは基本的に基礎外断熱をした際の外部の断熱材であることが分かりました。基礎内断熱を採用し、適切な防御処理を施せば、過度に心配する問題ではないと考えています。一方で、株式会社和宇さんでは、採用されている「ハウスガード工法」の制約から、床断熱を仕方なく採用されているという背景を話されました。以前は基礎外断熱も試行錯誤され、蓄熱効果などのメリットも感じていたそうですが、長寿命化やシロアリのリスク低減のため、現在の工法を選ばれたとのことです。大手ハウスメーカーの多くが床断熱を採用しているという現実もあります。ファンズホームさんも私たちと同じく基礎内断熱を採用されており、気密性の確保のしやすさに加え、基礎断熱の蓄熱効果はかなり大きいと強調されていました。議論が白熱したのは、断熱工法を取り巻く現状の複雑さについてです。特に問題視したのは、建物の熱計算を行うための計算式が近年(2021年)に変更されたことです。この変更によって、物理的な性能とは無関係に、数字上は床断熱よりも基礎断熱の方が悪い結果(数字)になってしまうという現象が起きています。この計算式の変更は、床断熱を採用している会社が多いことが影響しているのではないか…という意見も出ました。しかし、計算上の数字が(例:Ua値が0.39から0.44)になったからといって、建物の性能が悪くなったわけではありません。本当に大切なのは、どのような断熱工法を採用するにせよ、その意味と理由を明確に持ち、きちんと施工することです。私たちは、各々の資格勉強だけでは断熱や気密の知識は深まらず、常に自ら興味を持って勉強し続けなければならないことを再認識しました。今回の動画を通じて、3社とも自社の信念と確かな理由に基づいて最適な工法を選んでおり、どれも間違ってはいないという結論に至りました。住宅の性能は計算式や数字だけでなく、施工の品質や会社ごとの哲学に大きく左右されます。今回の議論が、皆様の家づくりにおいて「断熱」の重要性を深く考えるきっかけとなれば幸いです。
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