【注文住宅】「坪単価はいくら?」と聞かれても建築会社がすぐに答えられない理由とは?知っておきたい坪単価のポイント!
家づくりをご検討中の皆さん、こんにちは!
家づくりを進める上で、きっと多くの方が気になることの一つに「坪単価」があるのではないでしょうか?「あの会社の坪単価はいくらくらいなんだろう?」「予算内に収まるかな?」など、坪単価を基準に建築会社を比較検討される方もいらっしゃるかもしれません。
私たちING-homeでも、お客様から「ING-homeさんの坪単価はいくらですか?」というご質問をよくいただきます。しかし、実はこの質問、注文建築を扱っている私たちにとっては、すぐに答えるのが難しい質問なんです。
今回は、なぜ注文住宅の坪単価を事前に断言するのが難しいのか、そして坪単価や建築費がどのように決まり、どんな要因で価格が変わってくるのかを、具体的な例を交えてお話ししたいと思います。家づくりを始める前にぜひ知っておいていただきたい大切なポイントです。
1.注文住宅の坪単価は、プランが決まってから算出されるもの
まず大前提として知っておいていただきたいのは、注文住宅の場合、坪単価は建物のプランや仕様が具体的に決まり、詳細な見積もり金額が出た後に、その金額を延床面積で割って初めて算出されるものだということです。
例えば、お客様が検討されている土地があるとして、まずその土地に対して、どのような間取りが良いか、どのような設備を入れたいか、キッチンはどれが良いか、床材はどうするかなど、お客様のご要望を詳しくお伺いします。そして、その土地とご要望に対して最適な建物のプランをご提案します。
そのプランにご納得いただけたら、いよいよ具体的な金額の見積もりに入ります。ここでようやく建物の詳細な金額が確定します。そして、その確定した建築費を、建てたい建物の延床面積で割ることで、「今回の家づくりにおける坪単価は〇〇円でした」という形で坪単価が明らかになるのです。
つまり、お客様の土地の条件も、具体的なご要望も何も分からない状態では、「〇〇坪の家を坪単価〇〇円で建てられますよ」と事前に断言することは、注文建築においては非常に難しいことなのです。坪単価を事前に提示できる建築会社もあるようですが、どのような仕組みでそれが可能なのかは私たちも分からないところです。
2.同じ延床面積でも価格が変わる!建物の「形」の重要性
さて、先ほど「延床面積」という言葉が出てきましたが、実は同じ延床面積の建物でも、その建物の「形」が違うだけで、建築費用は大きく変わってきます。
例えば、延床面積が40坪の家を建てる場合を考えてみましょう。同じ40坪でも、いくつかの建て方があります。
- 総2階建ての家:1階20坪、2階20坪の合計40坪の建物。
- 1階が大きい家:1階30坪、2階10坪の合計40坪の建物。
- 平屋の家:1階のみで40坪の建物。
これらはすべて延床面積は40坪ですが、価格は当然変わってきます。なぜなら、建物の形状によって必要な基礎や屋根の大きさが変わるからです。
総2階建て(20坪+20坪)なら、20坪分の基礎と屋根が必要です。一方、1階30坪・2階10坪の家なら、30坪分の基礎と屋根が必要になります。そして平屋(40坪)なら、40坪分の基礎と屋根が必要になるわけです。必要な基礎や屋根の面積が違えば、当然かかる費用も変わってきますよね。
さらに、建物の形は価格に影響します。例えば、同じ36平米(約10.9坪)の建物でも、外周の長さ、つまり「壁の量」が変わると費用が変わるんです。
- 一辺が6mの正方形の家(36平米)の場合、外周の長さは24mです。
- 横9m、縦4mの長方形の家(36平米)の場合、外周の長さは26mです。
- 凹凸のある形の家(36平米)の場合、外周の長さは29mにもなります。
同じ36平米なのに、長方形は正方形より外周が2m長く、凹凸のある家は正方形より5mも長くなっています。外周が長くなるということは、それだけ多くの壁が必要になるということです。壁の量が増えれば、当然同じ金額で建てることはできません。
このように、延床面積が同じでも、建物の形状(階数や平面的な凹凸)によって、基礎、屋根、壁といった構造部分にかかる費用が変わってくるため、建築費用も変動するのです。
3.選ぶ「設備」や「仕様」でも価格は大きく変わる
建物の形だけでなく、お客様がどのような設備や仕様を選ばれるかによっても、建築費用は大きく変わります。
例えば、キッチン一つとっても、対面キッチンが良いのか、それとも違うタイプが良いのか。床材は何を選ぶのか。階段は一般的な階段で良いのか、それともアイアンを使った造作のオープン階段が良いのか。こうした一つ一つのご要望によって、必要な材料や工事の内容が変わり、それに伴って費用も変動します。
皆さんの「こだわりたい!」というご要望を叶えていくほど、当然ですがコストは上がっていく傾向にあります。
4.「最初聞いてた金額と違う!」とならないために
これまでお話ししてきたように、注文住宅では建物の形や選ばれる設備・仕様によって、建築費用は大きく変わってきます。
ですから、もし家づくりの初期段階で「坪単価〇〇円で建てられますよ」という話を聞いたとしても、それはあくまで概算や基準となる価格であり、最終的な金額が大きく上がってくる可能性があるということをぜひ知っておいていただきたいのです。
「最初聞いてた金額と違うじゃないか!」という事態は、まさにこうした理由から起こり得るのです。
家づくりは、お客様のご要望を形にしていくオーダーメイドです。だからこそ、じっくりと要望をヒアリングし、土地の条件も考慮した上で具体的なプランを作成し、それに基づいた詳細な見積もりを出すというプロセスが非常に重要になります。
坪単価は確かに気になるところですが、坪単価だけで建築会社を判断したり、安易に比較したりするのではなく、ご自身の要望がどれだけ反映できるのか、どのようなプランで、どのような仕様になるのか、そしてその結果、総額でいくらになるのかということをしっかり確認していくことが、後悔しない家づくりには不可欠です。